“売れない”5月末に考えたこと ~花の効用~とか

本年度も早くも二か月が過ぎました。あっという間とも言われますが、もがく期間としては長く感じます。

関わる皆さんが肌で感じられている通り、現在の花き販売の状況は甚だ厳しく、先行きが見えにくい状況です。

しかし、ただ嘆いているだけでは良い方向には向かわないと思いますので、生鮮の中間流通の立場を考慮しつつ、少し風呂敷を広げて“花が売れない”現状の打開策を勝手ながら考えてみました。

過去の事例を振り返ると、「健康に良い」と謳われた食品がTVに取り上げられたことで一種のブームとなり、スーパーの店頭から納豆やバナナが消えたことがありました。

花き業界もその恩恵を受けたことがあり、例えば古い話で恐縮ながら20年以上前には、空気清浄効果があるとしてごく短期間でしたが“サンセベリア”が飛ぶように売れたことがありました。また、美容や抗炎症効果が高いキダチアロエも注目されたことがあります。かつてはTVの影響力がとても強かったですが、現在はSNSや動画サイトといった新たな発信源があり、個別に効果的な訴求が可能な時代となっています。

「健康にかかわる消費」は根強い需要があり、近年ではSDGs(持続可能な開発目標)やウェルビーイング(心身の健康)の観点からも重要視されています。そこで、改めて花の持つ「効能」を軸に、活用の幅を広げることはできないものかと考えてみました。

例えば、医療や介護の現場での活用です。かつて病院へのお見舞いには切花が定番でした。鉢植えは「寝つき」との語呂合わせが悪いとされてきましたが、切花は好まれる傾向がありました。しかし、おおよそ10年ほど前から感染防止の観点で病院での見舞花が規制され、一部の医療機関では今も忌避されています。一方で、生花にはストレス低減や傷病の回復促進の効果があるとされ、積極的な活用を継続されている医療機関もあります。また、介護現場では認知機能や運動機能の改善にフラワーアレンジメントのレッスンが有効だという報告もあります。これらは単なるイメージではなく、学問的な研究結果に基づくエビデンスが存在し、掘り起こせば多くの根拠が見つかります。

※あくまで“生花”が効果的で造花等代替するものでは効果が薄いといった、切花を主に扱う私たちには大変喜ばしい報告も拝読したことがあります。

10年以上前から各地でこうした取り組みが地道に進められており、各地の花き振興協議会や個別の社団法人による活動もあり、ネット検索のレベルでも多様な成果を見ることができます。

流通の各所でこういった事例や根拠を活用できれば、買い物の現場で、買い手に対して食品に近い“必需”的な考えに乗せることもできるかもしれません。

しかし、特定の活用法には細かい特許設定等がなされているものもあり、商業の実務で考えると広く活用しにくい現状もあるようで、今後はこれらの障壁を低くすることや、もしくは理解を得られれば取り除き、花の活用の可能性をより広げていくことが求められているように思います。

閑話休題、当社の事務所はこぢんまりとしていて、従前から社員何れかの手で花を飾ることは絶えないのですが、何もなければ、いわゆる殺風景です。このところ女性社員や若い社員を中心にオフィスの中にも以前より配される緑が多くなっていて、なんだか、少しばかりかっこいい“風”の空間になってきています。

あまり大仰なことでなくとも、流通に携わる自分たち自身が、取り扱う“花”“植物”を楽しむことから、身の回りに花や緑を絶やさないようにするところから改めて取り組んでいこうと考えている次第です。

ほんとうに、ちょっとした植物でこころが和みますよね!

2025年5月31日 

代表 秋月